そんな私が新型コロナウイルスの恐ろしさをちゃんと理解したのは、小池さんの後に話した国際感染症センター長の大曲貴夫医師のこの発言。
「この病気の怖さというのは、……8割の(陽性の)かたの(症状)は軽いんです。歩けて、動けて、仕事にもおそらく行けてしまう。ただ残りの2割のかたは、確実に入院は必要で、全体の5%のかたは集中治療室に入らないと助けられない」
さらに「ぼくは現場で患者さんを診ていて、よくわかるんですけど」と前置きして、新型コロナウイルスの特徴を「悪くなるときのスピードがものすごく速いです。本当に1日以内で、数時間で、それまで話せていたのにどんどん酸素が足りなくなって……人工呼吸器をつけないと助からないという状況に、数時間でなる。それでも間に合わなくて、人工心肺もつけないと間に合わない、ということが目の前で一気に起こる」と語っている。そうしたら、人工心肺をつけていた志村けんさん(享年70)が亡くなったという衝撃のニュースが飛び込んできた。
重症患者が少ないうちはまだ治療ができるからいい。だけど患者数が増えたら、イタリアのように、限りある人工呼吸器を誰につけるか、という恐ろしい決断を迫られる。オーバーシュート(感染爆発)って、医療崩壊を早々に招くっていうことだったのね。
小池さんが発表する感染者数の後ろには、その何十倍かの感染予備軍が控えている。手をこまねいて放っておくと、あっという間にイタリアのように取り返しのつかないことになる……そう思うと、急に恐ろしくなった。こうしている間にも、私の体の中にちゃっかり新型コロナウイルスが入り込んで、免疫力と音もなく闘っている。そして誰かにうつしているかも……。
人は不安になると、身を守ることを何かせずにはいられなくなる。スーパーの買い出しでほしいのは食料じゃない、安心なのよ。週末2日間の家族の食料だったら冷蔵庫にあるもので、たいがいはすむはずだもの。
だからといって、このタイミングで支援金代わりに「和牛の商品券を配ったらどうか」と言った国会議員の先生って、どんな感覚してんの? 商品券で家賃や携帯代を払えるのッ。