2人のやり方は違うが、共通しているのは「3件目が本命」だということ。カラクリを知ってしまえば単純極まりない方法だが、Yさんいわく、この「不動産屋に入ったら、初日に覚えるテクニック」は効果抜群だという。
もちろん客の年齢、予算、引っ越しへの切迫度などによって内見の順番はしばしば変わるが、他にも気をつけるべき点があるという。YさんやSさんは、声を潜めて次のように語る。
「不動産屋は、尋ねられたことには正直に答えますが、基本的には良いことしか言いません。滅多に見えなくても、『窓から富士山が見えますよ』と言いますし、午前中の1~2時間しか日が当たらないような部屋でも、『日当たりは悪くありません』と平気で言います」(Yさん)
「迷っているお客様には、『この部屋は午後にもう1名、内見の予約が入っている』と言って、契約を急がせるのは常套手段ですし、『実はウチの社員の親戚もこのマンションに住んでいる』と、お客様を安心させたりする者もいます」(Sさん)
こういった話を聞くと「ずるいやり方だ」と憤慨してしまいそうだが、「可能な限り希望には寄り添います」と胸を張るSさん。彼の会社が扱う物件の中は「築90年以上」や「5.2平方メートル(=畳約3畳分)」という強烈な物件もあるそうで、妥協点さえ見つけられれば、家賃はかなり削れるとのことだ。