終身雇用制度が破綻し、公的年金の実質目減りが取り沙汰される今、老後資金をどう確保するかが、大きな関心事となっている。そんななか、若いサラリーマンたちのあいだでも株式投資に挑戦するひとが増えている。そうした中のひとりに株式投資への思いを聞いた。
大手メーカーに勤務する男性・Aさんは、20代ながら投資歴は10年を超える。個人としての運用資産は500万円以上で、投資信託2種類と、エネルギー、IT、医療などといった業種の会社の小型株を100万円単位で保持。時勢によって資金が流れやすい業種への投資を行っているという。
「先祖代々金融関連の仕事をしており、父親が証券マンという家庭環境で育ったため、幼い頃から株取引が身近でした。投資を本格的に開始したのは、大学に入ってから。親から教育の一環という名目で100万円を渡され、『これを運用してみろ。大学4年間で運用して赤字だったら、差額を払え』と言われたことがきっかけです」
株式市場が動くのは、Aさんの勤務時間中。その間にリアルタイムの取引はできないので、勤務時間外に予約注文を出しておくスタイルだ。それでも、株価が暴落した際には、仕事が手につかなくなることもあるし、一方で1回の取引で得た利益が月収を超えることもあるという。
Aさんは普段、自らにルールを課したうえでの運用を心がけている。
「銘柄ごとに売却価格を決めて、基本的に仕事中は見ない。何度見たところで、必ずしも株価が上がる訳でもないし、見過ぎるのは精神衛生上良くない。1日に何度かのトイレ休憩以外は確認しないようにしています」