年金を受け取りながら働く定年後世代が休業を指示された場合、高年齢雇用継続基本給付金と在職老齢年金の支給停止がどうなるかに着目したい。
高年齢雇用継続基本給付金は、給料が定年前(60歳時点)と比べて75%未満に減った人に、新給料の最高15%が給付される仕組みで、本人の口座に直接振り込まれる。
会社から休むように指示されて休業手当を受け取る場合、収入はさらに下がる。この場合、給付額は再計算され、人によっては額が増えたり、新たに給付が受けられたりすることがある。
「たとえば、定年前の8割の給料で再雇用された人はこの給付金を受け取れませんが、休業手当でさらに収入が6割に減る(定年前の48%になる)と、給付金がもらえるようになる」(風呂内氏)
同給付金は会社が2か月毎に申請を更新する仕組みだ。
ゼロだった年金が7万円に
次は年金カットだ。働きながら受給する在職老齢年金は、月給と年金の合計が28万円を超えると年金の一部が支給停止になる(60~64歳の場合)。現在、この基準により年金をカットされている人は、休業で給料が下がった場合、年金が増えたり、全額もらえるようになることがある。
「計算に用いる標準報酬月額は毎年4~6月の給与を基準に計算されます。今月給料が下がっても、すぐに翌月の年金額が増えるわけではありませんが、休業手当を受け取ることで、年金の支給停止額が減る人も出てくる」(日本年金機構広報室)
たとえば60代前半で月給38万円、年金月額10万円の人は本来、年金が全額カットになる。この人が4~6月に休業を命じられて収入が6割(月給22.8万円)に減った場合、再計算が反映される9月分から月額7.6万円の年金を受け取れることになるのだ。
他にも、新型コロナに感染して2週間の自宅療養となった場合、会社の休業手当は原則出ないが、健康保険の傷病手当金などを申請することができる。
※週刊ポスト2020年4月24日号