経済への影響が如実に出始めた。新型コロナウイルスに関連する倒産は、感染が広がった東京都や北海道、大阪府、兵庫県、福岡県などにとどまらず、全国に広がっている。
「4月16日には緊急事態宣言が全国に発令されましたし、これから倒産件数はまだまだ増えると見られています。現在、政府は東京地方裁判所に“緊急事態宣言期間中に破産などの不急の申立てを控えるように”と東京の3弁護士会に要請しています。地裁の業務を縮小しているための措置ですが、宣言後に倒産の手続きが相次ぐ可能性が指摘されています」(全国紙経済部記者)
倒産した企業は、飲食店、食品製造業、学習塾、旅館、旅行業、クルーズ船運行会社など。どこも集客の大幅な減少、営業自粛などによる売上減が痛手となった。
「名古屋に本社があり、東京都内で3店舗のパチンコホールを運営している『赤玉』が4月15日に破産手続きを開始しました。感染拡大によるパチンコ関連企業の倒産は全国初です。
新型コロナウイルスの感染が広がる中でも、パチンコ店には朝から行列ができていました。しかし、緊急事態宣言の発令後は営業自粛要請の対象となり、休業を余儀なくされていた。それが直接的に影響した格好です」(同前)
経済損失は限りなく大きいと指摘するのは、関西大学名誉教授で経済学者の宮本勝浩氏だ。
「リーマン・ショックの時、日本経済は2008年と2009年の2年間でGDPが7.6%減少しました。今回はその時に比較して、1.5倍の経済的損失が出るとみています。同じく2年間の損失を算出すると、東京だけ約12兆円、神奈川は約4兆円、大阪は約4.5兆円。日本全体では約63兆円の経済的損失が出ると予想しています」(宮本氏)
現状、緊急事態宣言は5月6日までとされているが、終息していなければ延長も十分あり得ると見られている。そうなれば経済損失はさらに増える懸念もあるだろう。