芸人としての月収が3000~5000円程度で「普段はバイトで食いつないでいる」という、芸人Bさん(20代男性)が語る。
「月に10本くらい出ていたライブは、4月は全部中止になってしまいました。ライブを主催する側の芸人の場合、会場のキャンセル料もかかってしまい、『今月は8万円の赤字』と言っている人もいますね。中には、お金がない芸人からキャンセル料を取るのが心苦しいということで、キャンセル料を免除する会場も出てきているようです。
僕は主催側ではなかったのでライブ会場のキャンセル料を払うことはなかったのですが、それよりもバイトをしている居酒屋が4月中旬から休業になってしまったのが痛いです」(Bさん)
売れていない芸人は生活費を稼ぐためにバイトをしているが、急なオーディションやライブがあったりするので、なるべく融通が利くバイトを選ぶ傾向にある。そのため飲食店やカラオケ、ネットカフェなどでバイトをしている芸人が多いが、それらの業態はコロナの影響をモロに受けることになった。Bさんが続ける。
「他にも、昼間にやっているカフェのバイトはシフトが削られて週に1回だけになりました。中にはバイトが全員クビになったというお店もあると聞いたので、まだ恵まれている方でしょうか……。
周りの芸人にもバイトがなくなった人は多く、家にいながら稼げることを何とか探そうと必死です。YouTubeなどの動画配信に活路を見出そうとする芸人も少なくありません。国からの給付金の10万円は嬉しいですが、家賃や光熱費であっという間になくなるのは目に見えています。貯金もほぼないので、これからどうなるのか、本当に不安です」(Bさん)
コロナの影響は芸人の主戦場となる芸能界だけでなく、そのバイト先にも及んでいる。お金を稼ぐ手段を奪われた芸人たちの苦境は、いつまで続くのか──。
文■矢口渡(芸人ライター)