当時、私がブロスの編集をするにあたって、母校・一橋大学のプロレス研究会の学生にも手伝ってもらっていました。そんな中、「『魁!!クロマティ高校』の主人公が一体誰だか分からない!」という声に答えるべく、プロ研のある学生(リングネーム「RESET」)に「このマンガの全部のコマを数え、もっとも登場回数が多いヤツをオレらで主人公認定するぞ!」と15巻分を渡し、各キャラクターの登場したコマ数を数えてもらいました。
元々「神山高志」というキャラが主人公設定だったと思うのですが、RESETの集計によると「林田慎二郎」の方が多かったそうです。東京・下北沢のカフェで朝からビールを飲みながらRESETの集計結果を聞きました。そして登場回数TOP20を一覧表にしたうえで、もっとも登場コマ数が多かった林田を、我々は勝手に主人公認定しました。
さて、クロマティ高校を通じて思わぬ縁があったと書いた、マネーポストWEBのM氏ですが、当時、彼は週刊ポストに所属しており、そこで、クロマティ高校騒動に関するページを担当していました。内容はクロマティ高校の実写映画版に、元読売ジャイアンツのウォーレン・クロマティ氏が激怒している、というものでした。
クロマティ氏によると、「突然、日本からオレの名前を冠した映画ができたので、祝福コメントを下さい、とファックスが来たんだよ。だが、オレの名前を冠した映画ができるなんて、聞いてないし許可もしてない。そもそも原作は不良高校生が登場するマンガなんだろ? オレは高校時代は勉学優秀な生徒として表彰されたこともあるのに、なんで不良なんだよ! 徹底的に抗議をする」とのことでした。
ちなみに同記事では、同じく作品中に不良高校名として名前が登場する元阪神タイガースのランディ・バース氏と元西武ライオンズのオレステス・デストラーデ氏にも取材しており、バース氏は「オレは今、農場の仕事で忙しいから、そんなのどうでもいい」と語り、デストラーデ氏は「デストラーデ高校も不良の高校だって? そりゃいいや、ワッハッハ」と笑っていたそうです。
クロマティ氏にファックスを送ったのは誰だ!?
ここでクロマティ氏のコメントに戻るのですが、この時、週刊ポスト編集部の中では「では、ファックスを送ったのは誰なんだ?」という謎が取り沙汰されたようです。結果的に映画配給会社はクロマティ氏に謝罪をしたうえで、エンドロールに同氏の名前を載せて映画を公開するに至りました。
さて、「お祝いのファックス」の件ですが、これは私がブロスでクロマティ高校特集を作った時にライターをやってもらっていた(後に私からブロス編集者を引き継ぐ)木下拓海氏が送ったものでありました。ブロスでもクロマティ氏に一言コメントをもらおうとファックスを送ったのですが、クロマティ氏から返事が来なかったので、勝手に我々は「クロマティに架空インタビュー」と題し、「あぁ、オレ様の名前を冠した映画ができたか。嬉しいぜ」といった、なりきり想像インタビューを特集に入れました。
しかし、ブロスの校了日にスポーツ紙で「クロマティ、自分の名前を勝手に映画に使われ激怒!」という記事が出て、急遽その部分は印刷前だったのでテキトーな広告に差し替えることになりました。