「会社組織も同じです。個人の裁量に任せる柔軟性のある組織は、困難を解決するためのアイディアがそれだけ多く出そろいます。臨機応変に動くことができるので、強い組織になります」
では反対に、非常事態に脆弱な組織とはどのようなものか。それは「トップダウン型の組織」だと吉原さんは言う。
「普段はなんとか運営できても、複雑で大きな問題が起こったとき、リーダーひとりが、まるで神様のように正しい判断ができるとは限りません。トップダウン型のリーダーは、自分の指図通りに動く人間を重宝がりますが、反発したり別の意見を持つ人間は切り捨ててしまう。
やがてその組織には、“言われた通り動けば怒られない”という発想が染みつき、“自分の考え”や“新しいアイディア”が生まれにくくなるのです」
上から言われたことだけをやってポイントを稼げばいいという発想は、自分にとっての損得でしか物事を判断できなくなる“指示待ち族”を生む。
「困っている人を目の前にしてなお、指示されるまでじっと待ち、“自分にとって何が得か”とは考えても、“自分にできることは何か”とは発想しない。それがいまの首相周辺の官僚と重なって見えます」