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「家賃下げろ!」で大家が悲鳴「こっちだって大変なんだ!」

 山村氏が大家になったのは10年前。父の死をきっかけに、経営していた飲食店を廃業。今年で築40年になるアパートを相続し、その1部屋に妻と90歳を超える母の3人で暮らしている。賃貸用の10部屋はいずれも2Kで月額6万5000円。すべて満室なら単純計算で月65万円の家賃収入となるが、現実はそうはいかないという。

「年間800万円近い上がりがあれば、老後はわずかな国民年金でも十分にやっていけると考えていた。だが、老朽化したアパートは毎年のように修繕費で100万円単位のお金が消えていく。固定資産税も年間70万円ほどかかる。この10年間の稼働率は平均して7割程度。1年以上、空室になっている部屋もあり、収益の改善は見込めない」(山村氏)

 5年前、外壁修繕のため土地を担保に借り入れた1500万円のローンも重くのしかかる。月々の返済額は20万円近い。

「いま、賃貸物件は“借り手市場”になっている。周りにある築浅の物件も、入居者確保のため家賃を下げているから、相場は下落する一方。この先、経済悪化を理由に“家賃減額は当然”といった空気が醸成されると大家の立場はますます弱くなる」(山村氏)

 冒頭でも触れたが、賃料の支払い・減額に関する支援策が示されているのは、今のところ貸しビルの店子とそのオーナーだけだ。国交省は減額を行なったビルオーナーに固定資産税の減額などを実施する方針だが、山村氏のような個人大家は賃料減額等で収入が半減しても、最大100万円の「持続化給付金」を受け取ることができない。個人大家の不動産収入は給付金の対象外とされているためだ。

 コロナ経済危機の中で「働かなくても賃料が入る大家は最強」という声も聞こえるが、「大家は金持ち」は過去の話。巷には“負動産”を抱えた大家が溢れている。

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