新型コロナの影響が少しずつ明らかになってきた。経済が混乱するなかで、足をすくわれてしまった企業は多いが、こんな意外な業種も苦境に喘いでいる。
専門性が高く、安定した実入りが見込める“士業”のなかでも、トップクラスの収入があることで知られる弁護士だが、全国で裁判の延期が相次ぎ、苦境に立たされている。
「顧問料収入が中心の法律事務所は比較的ダメージが少ないが、他はみんな大変です。とくに着手金0円の『完全成功報酬制』の事務所は、かなり厳しい。後払いなのに裁判がもう2か月も止まって売り上げが入らないんです。
事務所が潰れることはないだろうけど、弁護士になってまだ1~2年の若手が事務所から放り出されるようなことになれば、その先が厳しいでしょうね」(都内の40代弁護士)
家で動画配信を見る人が増え、YouTuberはさぞや儲かっているのでは……と思いきや、そうではないようだ。20代のゲーム系YouTuberがこう明かす。
「動画に広告を入れるにあたってYouTube側と単価の取り決めはないのですが、新型コロナ前までは、『1再生0.1円』くらいの水準だったのが、4月は同じ再生回数なのに収益がほぼ半分になりました。企業からYouTubeに広告が入らなくなっているのか、1再生あたりの単価が大幅に下げられているのだと思います」
東京都では休業要請の対象になるか、ギリギリまで情報が錯綜した理美容業界。結局、対象からは外れたものの、それを喜ぶ声は聞こえてこない。営業を続けられた店も、苦境にあるのだ。
「規模・立地・客層がバラバラなので一概には言えませんが、どこも売り上げは9割くらい減っているでしょう。とりわけ一等地に構えるカリスマ美容師の店は家賃支払いがキツいようです。
“髪の毛は伸びるから、そこまで影響を受けないだろう”と思っていたら、お客さんは外出自粛で人に会わないから、髪の毛を切らなくてもいい。
とくに卒業・入学・新生活のかきいれ時が落ち込んだのは、かなり痛い。セットサロンにはもう廃業してしまったところもあります」(新宿で開業している美容師)
※週刊ポスト2020年6月5日号