6月7日に経団連が発表した、“2016年夏季賞与・一時金の妥結状況(第1回集計)”によれば、大手95社の夏のボーナス平均額は、92万7415円──。
「これは過去5本の指に入る高水準です」と言うのはファイナンシャルプランナーの深野康彦さんだ。
「2013年の夏ボーナスから4年連続の増加。金額的にはリーマン・ショック前の水準に戻りました」(深野さん)
経団連のデータは、東証一部上場の、いわゆる大手企業が対象だが、中小企業も今年は上がるところが増えると深野さんは見込んでいる。
「中小企業は、人手不足が深刻。人材を確保しようと賃金アップに投資し、この春の給与水準の引き上げ率は大手企業より高かったんです。ボーナスも同様の流れがあると思います」(深野さん)
いよいよ景気回復かと、期待は高まる。この夏、本当に日本はウハウハになれるのか? しかし、ボーナスが上がっても、景気はよくなっていない。これが、専門家たち共通の意見だ。
「大手企業の給与水準引き上げ率は昨年より悪かったにもかかわらず、ボーナスは上がりました。これは、企業が利益を社員に還元する方法として、一度上げてしまうと下げられない基本給より、いつでもカットできるボーナスを選んだということ。つまり、企業が、景気回復を確信できず、不安視している証です」(深野さん)
世界的にも経済状況は芳しくないと話すのは第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣さんだ。
「5月の伊勢志摩サミットでもその認識が一致し、各国ができることをしていくという結論に。日本の場合、それが消費増税の延期です」(永濱さん)
日本は前回の増税の痛みが尾を引き、個人消費が伸びていない。今増税したら、デフレに戻る危険な状況なのだ。
※女性セブン2016年7月14日号