老後に向けた資産形成のために注目されるつみたてNISA(少額投資非課税制度)は、最長で20年まで運用益(配当金や売却益)が非課税になる制度だが、運用する上で気をつけなければならないこともある。たとえば、こんな勘違いをしている人もいるようだ。
「今年は新型コロナの影響で、20万円しか投資に回せる余裕がない。来年はまとまったお金が入る予定なので、余った非課税枠と合わせて60万円投資するつもりです」(自営業・30代女性)
つみたてNISAの非課税枠は年間40万円で固定されているため、このケースは認められない。ファイナンシャルプランナー(FP)の山中伸枝さんが話す。
「使わなかった非課税枠を翌年再利用することはできません。また、40万円投資し、同じ年に30万円売却したからといって、新たに30万円買い足すことも不可能です」
積み立てる期間にも注意が必要だ。新制度によって、つみたてNISAは新規で投資できる期間が、これまでの2037年から5年延長され、2042年まで可能になった。2020年に始めた場合は23年間の積み立てができ、毎年最大40万円を積み立てれば、920万円となる。ただし、運用益が非課税となる期間は最長20年のまま据え置きのため、ある時点の40万円×20年で800万円が最大だ。
「2042年までならば、いつ始めても20年の非課税期間の恩恵にあずかれますが、積立期間もフル活用するには、2020年中に始める必要があります」(FPの鈴木さや子さん)