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なぜいまハンコなのか? 業界誌編集長がその必要性に太鼓判

織田信長の印が押された朱印状(熊本県立美術館提供。時事通信フォト)

織田信長の印が押された朱印状(熊本県立美術館提供。時事通信フォト)

 そもそもハンコはどのようにして生まれたのか。

「始まりは紀元前3000年頃のメソポタミア文明まで遡ります。当時は権威の象徴や封蝋などで使われていました。

 日本でハンコを広めたのは織田信長だとされています。南蛮貿易の際、ポルトガル人がハンコを使うのに目を付けた信長は、ポルトガルからハンコ職人を呼び日本の職人を育成。優れた者に細かい字を彫ることから“細字”という苗字を与えました。これが今のハンコ屋さんのルーツだと言われています」(真子氏。 ※編集部注・諸説あります)

 その後日本では、ハンコは書類の内容を確認・承諾した「意思の担保」の役割を担うことになる。紙文書では署名、拇印が世界共通だが、日本ではそこに独自にハンコが加わったわけだ。真子氏はその観点から、現代においても、人々の権利を守るためにハンコは必要だと語る。

「ハンコをやめてすべてをオンラインにする動きがありますが、それでは弊害があります。例えばパソコンやスマホが使えない高齢者や、ネット環境が整っていない過疎地の人はどうなるのか。最低限、紙と郵便とハンコという日本のインフラは守っていかなければなりません。もちろん古臭いとか面倒臭いといったイメージがあるのは業界にも原因があるので、業界も時代に合わせて変わる必要があると思っています」(同前)

コロナ禍で注目された「おててポン」(シヤチハタ提供)

コロナ禍で注目された「おててポン」(シヤチハタ提供)

 実は「コロナ禍で売れたハンコ」もある。手洗い練習スタンプ「おててポン」だ。子供の手洗いを奨励するもので、前年同月の約10倍の出荷量となる人気となった。また、テレワークにおける捺印方法として「電子印鑑」を耳にする機会も増えた。ハンコ時代に順応し始めている。

 良くも悪くも注目を集めるハンコ。それだけ我々の生活に根差しているからこそである。

『月刊現代印章』編集長・真子茂氏(撮影/太田真三)

『月刊現代印章』編集長・真子茂氏(撮影/太田真三)

※週刊ポスト2020年7月24日号

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