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2020年はバラ色の未来ではない──山積する「2020年問題」

 国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2020年代に入ると、毎年の死亡者数は150万人台に達し、出生数の2倍になる。同研究所の別の推計では、2020年にはすべての都道府県で人口が減るという衝撃的なデータもある。

 人口減少が進むなか、高齢化の進展によって、2020年には総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が現在の25%から30%を超える見通しだ。3人に1人が高齢者となるなか、それを支える1972~74年生まれを中心とした「団塊ジュニア世代」が介護のために離職するような事態になれば、日本企業が空洞化する恐れもある。

 だから、アベノミクス第2幕となる「一億総活躍プラン」では「介護離職ゼロ」を目標に掲げたが、それを実現しようとすれば、今度は企業がそれをつなぎとめるための人件費の増大が問題となってくる。何しろ団塊ジュニア世代の先頭グループは2020年に48歳を迎え、数もさることながら、その技術やノウハウ、経験が豊富なベテランとして会社を引っ張っていく立場になる。当然、それなりの賃金を払わなくてはならないだろう。これも「2020年問題」に数えられる。

●空き家問題
 また、アベノミクス第2幕で掲げる「介護離職ゼロ」に向けて、在宅介護から施設での介護へと巻き戻しが進むことで、2020年には全国の空き家が1000万戸に達するという「空き家問題」もある。

●ブームの反動
 一時的なブームの反動が懸念される「2020年問題」もある。東京五輪に向けた建設ラッシュで、建設土木業の人材不足が顕著となっており、建設業に加え、サービス業でも雇用者数は増加しているが、それは五輪までの話。雇用は一時的なものであり、その後も保証された継続的なものではない。

 あるいは、2016年1月に始まった「マイナンバー制」でも、各種システム構築やセキュリティ対策などで、システムエンジニア(SE)など技術者の人材不足も指摘されている。だが、これもシステムを構築してしまえばお払い箱となり、それが落ち着くと見られる2020年以降、大量に溢れ出てくるといった予測もある。

 2020年に向けて大量雇用したツケは、「ポスト2020年問題」としてどこかで必ず返ってくるのだ。

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