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2020年はバラ色の未来ではない──山積する「2020年問題」

●歴史的な五輪後の景気悪化
 そして、五輪後は、それまでの巨額の財政負担が重石となり、反動による景気悪化が必ずといいほど訪れる。

 戦後復興の象徴だった1964年の東京五輪後も一転して不景気となり、1965年には不振に喘ぐ山一証券が日銀から特別融資を受けるといった証券不況に見舞われた。

 近年の開催国を見ても、1988年のソウル五輪後の韓国、1992年のバルセロナ五輪後のスペイン、2000年のシドニー五輪後のオーストラリア、そして2004年のアテネ五輪後のギリシャ、2008年の北京五輪後の中国などは、いずれも五輪後に景気が悪化している。

 このように、ざっと並べただけでも、さまざまな局面での「2020年問題」が山積している。

 そうであるにかかわらず、安倍政権はまるでそれら「2020年問題」を覆い隠すように政策を打ち出し、バラ色の未来の演出に躍起になっている。だが、それは、今はかろうじて中流を装っている世帯を下流へと突き落とすことにもつながりかねない。過度な期待は禁物だ。

※須田慎一郎・著/『偽装中流』より

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