土地に関する手続きで相続トラブルが発生することは多いが、相続したものの、トラブルになりやすい土地もある。
一般社団法人しあわせほうむネットワーク/司法書士法人リーガルサービス代表の野谷邦宏氏がいう。
「親から相続する不動産の中には、まだ法律や制度が整備されていない時代の土地も多く、トラブルが絶えません」
建築基準法では、建築物の敷地は2m以上、道路と接していなければならない。だが昔の家は、公道から2m未満の細い私道を通って、奥にある敷地に向かう「旗竿敷地」も多い。これは、国旗を竿と旗を使って掲揚するような形の土地のことを意味する。細い土地を通ったうえで、土地にたどり着き、旗竿のような形になる土地のことだ。
「旗竿敷地の家は、相続後に建て替えや売却ができず、老朽化が進んだ際に不具合が出る。そのため相続時には将来を見越し、隣地所有者と交渉して道路に2m接するよう隣地の一部を購入するか、早めの売却を検討すべきです」(前出・野谷氏)
また、長年住んでいるうちに隣家との境界線が曖昧になり、自宅の敷地に隣家の建物やフェンスがはみ出している場合も対処が必要になる。
「越境物があると正確な敷地の面積が測れず、財産分割時にトラブルのタネになりかねません。事前に隣家と話しあって取り除いたり、越境部分の土地は隣家の名義にしておくなどの対策が必要です」(前出・野谷氏)
※週刊ポスト2020年9月11日号