プライベートではボランティア系のサークルに入ったTさん。多感な時期ゆえ、途中でやりたいことも変わり、今度は教師を目指す。
「大学には教員試験対策講座があり、2年生からそちらを受けることにしました。ただ、過去のデータを見ると、教員免許を取得するのは毎年1人か2人で、実際に教員になった卒業生は過去5年間でゼロ。私は教員になる気マンマンでしたが、コロナ禍で教育実習ができなくなった。将来の見通しが立たなくなったので、今度は公務員試験を受けることにしました」
教育実習を行うのは大学4年生の6月。コロナ騒動下での教育実習について、国の対応が遅れに遅れたため、就職浪人が許されないTさんは軌道修正を余儀なくされたわけだ(その後、特例措置として今年度に限り、やむを得ない場合は教育実習なしでも教員免許の取得が可能となった)。
大学はFランでも、もともと勉強が苦手ではなかったTさんは、教養試験を難なくクリア。7月中旬に行われた面接もパスし、およそ15倍の倍率を突破して、来年4月から生まれ故郷の市役所で地方公務員として働くことになった。
「大学名がどう判断されたのかは分かりませんが、成績は3年まで全科目『優』だったので、そこは評価してもらえたと思います。生まれ故郷は大きな街ではないので、面接では『○○高なら△△先生知ってる?』『ハイ、部活の顧問でした』みたいな会話もあって、大学名よりも高校名が評価された可能性はあります。一応、地元では一番歴史があり、入るのも難しい学校なので」
東京の大企業では珍しいことかもしれないが、地方での就職時は、大学より高校が重視されるのはよくある話。高校に入るまでに努力したことが、後になって役に立ったのだ。言い換えれば「優秀であれば、Fラン大に進んでも何らマイナスはなかった」ということ。「Fラン大だから……」とボヤくぐらいなら、そこで輝くことを目指した方が有意義な大学生活を送れるということかもしれない。