そんな中村が冒頭のように「いまの家を終の棲家にはしたくない」と語るのは、残される夫や子を慮ってのことだ。
「家で死ぬと、そこにまだ私が眠っているような気がして、いろいろな悲しみが残ると思うんです。同居していた姑が自宅で亡くなったときも、私はその部屋に入ると寂しくなって涙が出ましたからね。だから最期はふらっと入院して、そのままフッと死にたい。家族にもそう言ってるんです」
終の棲家は自分だけのものではなく、その先を生きていく家族のものでもあることを、芸能生活84年目の女優の言葉は教えてくれる。
※女性セブン2020年9月24日・10月1日号