吉田みく「誰にだって言い分があります」

ビール片手に「オンラインツアー三昧」の定年夫に苛立つ妻の本音

 最近では、長年関係が続いている友人たちと一緒にオンラインツアーに参加しているようで、賑やかな声がリビング中に響き渡っているそうだ。

「『旅行気分を味わいたい』といって、昼間からビールを飲む姿にも呆れます」

 オンラインツアーが終わればリビングでいびきをかいて昼寝。野辺さんの趣味である韓国ドラマ鑑賞が邪魔されていることもあり、イライラが募っているという。野辺さんはオンラインツアーに参加しないのだろうか。

夫を旅行に誘ったが…

「オンラインツアーもいいですが、私は実際に旅行へ行きたいタイプです。現地の食事を楽しむ、気候を感じる、そして旅の思い出にお土産を買ってご近所さんに配りたいんです。喜びをシェアするまでが私の旅行といえるかもしれません」

 そのため、オンラインツアーでは少し物足りなさが残ってしまうそうだ。新型コロナがなければ、娘と旅行を計画していたらしい。

「私も旅行は大好きですから、夫の趣味を否定するつもりはありません。でも、参加する頻度と態度が気に入らないんです。タスクを処理するかのようにポンポン参加して、ちゃんと思い出になっているのか……。それよりも私はGo Toキャンペーンを利用して、本当の旅行へ行きたいです」

 野辺さんは夫に旅行の提案したのだが、夫からは「もう少し感染者数が落ち着いてからにしよう」と言われてしまったそうだ。しかしまだ諦めてはおらず、現在も旅行の提案をし続けているんだとか。

 リーズナブルな価格で気軽に参加できるオンラインツアー。旅行会社のホームページを見てみると、魅力的なツアーがずらりと並んでおり、野辺さんのご主人がハマってしまうのも納得できる内容ばかりだった。コロナ禍の今、オンラインツアーか、現地に足を運ぶ旅行か、という二者択一を迫られたら判断は難しいところである。

 野辺さんの一番の不満は、オンラインツアーに参加しまくる夫への態度のようだった。気軽だからこそ陥りやすい問題なのかもしれない。新しいスタイルとして注目を集めつつあるオンラインツアー。夫婦仲が険悪にならないよう、利用のルールなどを決めて旅行を楽しむべきなのかもしれない。

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