「将来は誰も知らないところで居酒屋でもやりたい」
では、なぜTさんはMさんと交友が続いているのか? それはちょっとした奇跡が起きたからだ。
「Mとは大学卒業以来、完全に交流が途絶えていましたが、30代半ばに神宮球場のヤクルト対阪神戦を見に行ったら、超満員の球場で、Mが真後ろの席に座っており、十数年ぶりに再開。以来、年に1~2回、阪神戦を見に行ってお酒を飲むという細々とした交流が続いています」
ここまでの話を聞けば、物静かで常に一人ぼっちの人間を想像するが、Mさんはおしゃべり好きで、高校時代にはバスケットボール部の部長を務め、大学時代にはバンドサークルでギターを弾いていたという活発な人物。大学時代には「少なく見積もっても、1000時間は一緒に遊んだ」というTさんは、こう分析する。
「一度、『何でパッタリと連絡を断ったのか?』と聞いたら、『断ったつもりはない』『携帯を失くしたりとか……』と、モゴモゴと言い訳していましたが、環境が変わると『わざわざ連絡してもな~』という気分になり、一からやり直したくなるようです。かつて『転校はイヤだったけど、色々なキャラになれるのは面白い』と言っていたので、それも心のどこかにあるのでしょう。また、基本的には明るい奴なので、『友達なんて、どこに行ってもすぐに出来る』という自信もありそうです」
そんな彼と何とか交友関係を続けているTさんだが、Mさんは「将来は誰も知らないところで居酒屋でもやりたい」と言っており、消える気満々の様子。Mさんは「(どこかに行っても)お前にはちゃんと連絡先は知らせるよ」と言っているが、Tさんはそのセリフを全く信じておらず、会う時は常に「今日が最後かも」という心境で遊んでいるそうだ。