株式やFX(外国為替証拠金取引)投資家が知っておくべき相場情報の一つが「アノマリー」だ。アノマリーとは、“論理的に説明できないものの、頻繁に繰り返される相場の法則”のこと。投資資情報会社の社長などを歴任し、現在は「為替の学校」M2JFXアカデミア学長でもある吉田恒氏が為替相場に関する9月のアノマリーについて解説する。
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アベノミクスで大いに盛り上がる中、昨年10月から今年5月にかけてほとんど一直線のドル高・円安となった為替相場は、103円で急ブレーキを踏んだ後、6月には一時93円までドル急落となりましたが、その後はちょっと方向感を欠いた感じになってきました。さすがのアベノミクス相場も、「夏休み」に入ったということだったのでしょうか。
ただ、今回のように、半年以上一直線に動いた相場が一服付くと、新たな方向性が出るまでは半年以上といった具合に、「ロング・バケーション」を迎えることが多かったようです。
一方向に大きく動く相場を「トレンド相場」といいますが、半年以上一直線に動いた究極のトレンド相場の「アノマリー」を参考にすると、今年一杯は新たな方向性の出ない一進一退が続く可能性があるのですが、果たしてどうでしょうか?
本来は、9月に入り、秋が深まる中で、為替相場は一方向へ大きく動きやすいというのが経験則の示すところです。夏休みで心身ともにリフレッシュし、やる気満々で臨む結果なのか、「スポーツの秋」、「読書の秋」、「食欲の秋」と「秋」に絡んだ言葉は多いですが、「FXの秋」とも言えそうなのです。
これは政策当局者も同じで、夏休み明けで重要な国際会議が多くなってくるのもこの時期の特徴です。そんな国際会議の決定が、為替相場が大きく一方向に動くきっかけになるという関係もあるのかもしれません。9月17日は2008年にリーマン・ショックが起こった日、そして9月22日は1985年に実質的なドル切り下げを決定したプラザ合意のあった日です。
また、9月11日は2001年に米同時多発テロ事件が発生した日ですが、その後しばらくこの日はドル高になる年が続きました。米国にとってはテロに見舞われた忘れられない日に、意地でも自国通貨、米ドルを下落させないといった一種の「愛国心」の結果だったのかもしれません。 基本的には、すぐに相場が行き詰るレンジ相場より、一方向に大きく動くトレンド相場の方が取引しやすいでしょう。
9月以降は、円高でも円安でも、数か月に渡って同じ方向に動く傾向があるので、比較的わかりやすい相場ということで、新たに取引を始める方にとっても「優しい時期」だと思います。
※マネーポスト2013年秋号