続いて、妻が63才でパートを退職するとしよう。夫婦の合計収入は0円になり、夫の年金だけでは生活費が足りなくなってくる。
そこで、夫婦は「2年間は夫の年金と貯金でどうにかやりくりし、妻が65才になったときに年金を受け取り始める」ことにした。北村さんは次のようにアドバイスする。
「男性は女性より平均寿命が短いので、夫の年金を早く受け取れる『繰り上げ』を選択するのがベター。一方、女性は長生きの人が多いので、貯金を取り崩してやりくりし、受け取るタイミングを遅らせるのも手です」
一方、夫婦どちらも会社員などの場合は、老後の生活費を自力でまかなえる可能性が高い。その場合は「繰り下げ」を選択してある程度まで受給開始を遅らせ、年金を増やす方がよいという。
「60代後半あたりまで夫婦の年金を繰り下げれば、受給額を増やしたうえで、健康なうちに使えるお金を増やすことができます」
このように、年金をもらい始めるタイミングは、夫婦の年齢差やそれぞれの収入、貯金額によっても大きく変わる。