「Go To使ったら、沖縄3泊4日が家族3人で実質4万円台だったの!」──そんな会話があちこちで聞かれるようになった。旅行に外食と、話題の「Go Toキャンペーン」だが、中には使いたくても使えない人もいる。そんなひとりである30代主婦に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
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「『Go Toまだ使ってないの? もったいなぁ〜い』とか、『すごく簡単なのになんで使わないの?』とか……。放っておいてほしいんですけど」
ため息交じりにそう話すのは、都内在住の繊維メーカー勤務、磯田文子さん(仮名・34歳)。ママ友からの“Go Toハラスメント”に悩まされている、と話してくれた。
「Go To」キャンペーンは、そもそも新型コロナウイルスの流行によって落ち込んでいる観光や飲食店の経済を再興させることを目的とした政策である。ランチで500ポイント、ディナーで1000ポイントが還元される「Go Toイート」(主要予約サイトでは新規付与の予約受付は終了)や、旅行代金が実質半額(上限1泊2万円。地域共通クーポン還元分を含む)になる「Go Toトラベル」が大きな話題になっている。
キャンペーンの割引が適用されるには、Go To事業と提携している飲食や旅行サイトなどを利用する必要がある(「トラベル」は旅行代理店窓口などでも利用可)。特に飲食店に関しては、様々な予約サイトがある中、行きたい店に合わせてサイトを使い分けなくてはならないという煩雑さも指摘されていた。
磯田さんが「鬱陶しい」と言う相手は、子供を通わせている幼児教室のママ友たち。共働きの磯田夫妻は保育園に通う子供の将来を考え、毎週土曜日に1時間、能力開発を目的としたレッスンを受けさせているそうだ。「母子分離式」のレッスンのため、子供を待つ間、親同士で時間潰しを目的とした会話が始まるという。
「確かに魅力あるキャンペーンだとは思います。でも喜んで使えないというのが本音です」(磯田さん、以下同)