とはいえ、上昇局面がはっきりしている業界は限定的だった。今回も感染者の増加と急騰が同時期に訪れているが、今の“爆騰第3波”は様相が大きく異なる。株式評論家の植木靖男氏が語る。
「世界的投資家のウォーレン・バフェット氏が今夏、割安と見た日本の商社株を買い集め、同じく米投資家のジム・ロジャーズ氏も今年半ばに日本株ETF(上場投資信託)を買ったことが話題になった。あれが日本株買いの号砲になったのかもしれません」
買い手はそれだけではない。
「夏前から10万円の特別定額給付金などを元手にした『給付金トレーダー』と呼ばれる個人投資家が続々参戦しているほか、株の中間期配当金の支払いが数兆円規模あり、それが日本株への再投資に向かうと予想されます」(植木氏)
そして、新型コロナワクチン開発への期待の高まりが日本株をさらに押し上げる契機となった。米ファイザーをはじめ開発中ワクチンの有効性が相次いで確認され、経済活動が正常化していくことへの期待が高まっている。
「外需頼みの日本株は世界経済の動向に左右されるため“世界の景気敏感株”と呼ばれ、世界情勢に真っ先に反応する。だからこそ出遅れていた日本株が“第3波”では一気に買われるようになったのでは」(カブ知恵代表の藤井英敏氏)
※週刊ポスト2020年12月18日号