日本の株式市場が活気を取り戻している。11月に入って以降、日経平均の上げ幅は欧米や中国の主要指数を上回って推移している。長引くデフレ不況などで日本市場を敬遠してきた外国人投資家が「アフターコロナ」を見据え、“日本買い”へと戦略をシフトさせているのだ。
新型コロナワクチン開発への期待の高まりも日本株をさらに押し上げる契機となった。米ファイザーをはじめ開発中ワクチンの有効性が相次いで確認され、経済活動が正常化していくことへの期待が高まっている。
「外需頼みの日本株は世界経済の動向に左右されるため“世界の景気敏感株”と呼ばれ、世界情勢に真っ先に反応する。だからこそ出遅れていた日本株が一気に買われるようになったのでは」(カブ知恵代表の藤井英敏氏)
コロナ禍では感染拡大と株高が同じタイミングで訪れていた。「GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)」と呼ばれる米国の巨大IT企業が巣ごもり需要で業績を拡大し、株価が高騰。それら米国株がコロナ第1波、第2波で株高を牽引したのだ。
しかし、今回の“第3波”での株高のきっかけとなったワクチン開発によって、米国市場では牽引役だった巨大IT企業に代わり、これまで売り込まれてきたボーイングなど製造業の銘柄に資金がシフトした。
「さらに出遅れていた日本の製造業が息を吹き返している」とグローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏はいう。
「ここにきて日本電産、東京エレクトロン、村田製作所、信越化学工業などが上場来高値を更新しているように、電子部品や半導体関連が大きく値を上げています。
電子部品ではソニーやTDKなど、半導体ではアドバンテストなども年初来高値を更新。景気回復局面を睨んで、独自の技術力で高い世界シェアを持つ日本の製造業の強みが見直されているといえるでしょう」