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好調・星野リゾート コロナ禍を乗り切る最強戦略はどう生まれたか

星野リゾートでいち早く「新ノーマルビュッフェ」を開始したリゾナーレ熱海

星野リゾートでいち早く「新ノーマルビュッフェ」を開始したリゾナーレ熱海

 新型コロナウイルスの感染拡大で甚大な影響を受けた旅行業界にあって、予約が引きも切らない星野リゾートは“一人勝ち”の強さを誇る。いち早く感染対策を講じ、様々な工夫とアイデアで難局を乗り越える舞台裏に作家・山口由美氏が迫った。

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 星野リゾートの星野佳路代表が社内ブログに「星野リゾートの倒産確率」(*)を発表して話題になったのは5月だった。緊急事態宣言発令後の同時期、日本の観光業を牽引してきた星野リゾートでさえ、厳しい経営状況だったということだ。ここからコロナ禍を乗り切る最強戦略が始まった。

【*予約や財務の状況など、いくつかの変数を元に試算した自社の倒産確率。5月の時点で38.5%と公表し、社内にありのままの現状を伝えた】

 星野代表が掲げた戦略のひとつが、3密を避けながら近場で過ごす旅のスタイル「マイクロツーリズム」だった。「急に近場のお客を相手にし始めたという軽い話にしたくなかった」と命名の理由を語る。

 マイクロツーリズムには「近場の人に地元の魅力を知ってもらう」だけでなく「地元の人たちから自分たちが学んでいく」といった内容も含まれる。この発想からさまざまなアイデアが生まれていった。

リゾナーレ那須のコンセプトは日本初の「アグリツーリズモリゾート」。敷地内の畑で農業体験のできるアクティビティも充実している(撮影/太田真三)

リゾナーレ那須のコンセプトは日本初の「アグリツーリズモリゾート」。敷地内の畑で農業体験のできるアクティビティも充実している(撮影/太田真三)

 栃木県では、4月28日から5月6日まで特措法に基づく宿泊施設の休業要請があり、この時リゾナーレ那須の松田直子総支配人が考えて生まれたのが、地元那須の名産品をまとめて楽しんでもらえる「那須ディスカバリーBOX」だった。再開業してまもなくは宿泊客も近場の人が多く、「地元の再発見につながった」と語る。

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