株式やFX(外国為替証拠金取引)投資家が知っておくべき相場の情報の一つが「アノマリー」だ。アノマリーとは、論理的に説明できないものの、頻繁に繰り返される相場の法則のこと。投資資情報会社の社長などを歴任し、現在は「為替の学校」M2JFXアカデミア学長でもある吉田恒氏が為替相場に関する8月のアノマリーについて解説する。
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8月の代表的な「アノマリー」としては、ドル高になりやすい7月とは逆に「ドル安になりやすい」ということがあります。1995年以降のドル騰落状況では、8月のドル安は12回、確率は7割となっています。
ちなみにこれは対円で目立つ傾向の可能性はあります。たとえば対ユーロでの米ドルの8月騰落状況は6勝8敗となっていたので、極端にドル安になりやすいということではなかったのです。
ではなぜ、対円で8月はよりドル安になりやすい傾向があったのか。8月は中旬に米国債の大量入札、償還があります。それも含めて、9月末の日本企業の中間期末に向けた、いわゆるリパトリ(資本の母国回帰)が起こりやすいということはありそうです。
「夏枯れ相場」で薄商いになりがちなこの時期、リパトリの影響がドル安・円高を決定的にするといったことはあったのかもしれません。
※マネーポスト2013年夏号