新型コロナウイルスの感染拡大によって、家族の大切さをより一層、感じている人も多いだろう。また、いつ家族が亡くなるかわからないからこそ、“終活”の重要性も高まってくる。夫婦で終活をしてきたという歌手でタレントの錦野旦(72)は言う。
「奥様を亡くされた役者の先輩が『何がどこにあるのかわからない』と苦労された様子や、10年前にくも膜下出血で突然死した義母が、元気なうちに家族宛てに『手続きファイル』を準備してくれていたおかげで死後の手続きが楽になったことなどから学び、65歳を区切りに妻と終活を始めました。
最初はお互いの印鑑がどこにあるかも知りませんでしたが、生命保険なら番号や名義、受取人など契約の詳細をわかりやすく書き出し、コピーを取って夫婦で1部ずつ持つようにしました」
さらに錦野は、お墓の問題もクリアにしたと語る。
「前妻の墓は車で2時間くらいの場所にあり、なかなか行くことができなくなっていました。そこで夫婦で相談し、自分たちが入る墓として、事務所から自転車で行ける距離にあるマンション墓を購入しました。お墓はお参りしなきゃ意味がないので、お参りに行く人の気持ちを重視して決めたのです。
葬儀についても子供や親戚に迷惑をかけたくないと夫婦で話し合い、葬儀場も一応決めてあります。家族や夫婦では墓や葬儀の話は避けがちではあるけれど、僕はそうやって決めたことですっきりして、残りの人生を楽しく生きることができています」
※週刊ポスト2021年1月1・8日号