住まい・不動産

持ち家と賃貸どちらを選ぶ? 損得だけでは語れないメリット・デメリット

被災者生活支援制度の内容

被災者生活支援制度の内容

 公的支援が限られ、かつ貯蓄だけでは対応不能……。そんなときに役立つのが火災保険だ。住宅や家財の損害に応じた保険金を受け取れる。とくに重視すべきなのが「風水災」の補償。これらの補償があるか、そして最大補償額がいくらなのかをしっかり確認しておきたい。今の住宅を建て直すのに必要な額で保険金額を設定し、さらに適切な補償をセットにして保険に加入しておけば、修理はもちろん、保険金だけで再建費用も賄える。

 そして、地震の補償も考慮しておきたい。地震が原因の損害は火災保険では補償されない。現在火災保険に単独で加入しているなら、地震保険を追加することも検討していいだろう。

 一方、賃貸派の住宅は“借り物”。災害で住まいを失っても、自分で直す必要はない。被災者生活再建支援金を受け取れ、住宅が滅失して退出することになれば、原則敷金も全額戻る。家財の火災保険・地震保険に適切に加入しておけば、賃貸派の災害対策は十分といえるかもしれない。

住まいのニーズは、人生のなかで変化していく

 生活環境への最近の影響といえば、コロナ禍によって「リモートワーク」が定着しつつあることだろう。オンライン会議が日常になり、場所を選ばず仕事ができるようになれば、毎日のつらい電車通勤を回避でき、職場と家の距離にこだわらずに済む。自宅で仕事するようになって、現在の住まいがニーズに合わなくなった人もいるかもしれない。

 そのような自分が意図していない環境の変化だけではなく、そもそも家族の構成や自分の年齢の変化とともに、住まいに対するニーズは変わっていくもの。仕事を変えた、結婚した、子どもが増えた、親の介護が必要になった……。人生のなかで大きな変化があったとき、それは住まい方を考え直す機会なのかもしれない。変化に合わせて柔軟に対応できる住まい方もまたひとつの選択だ。

 住まい方に正解はなく、自分も時代も、時間の流れとともに変わっていく。だからこそ、その時の多数派に自分を合わせて安心するのではなく、そしてソン・トクでもなく、“自分が納得できる住まい方”を選択できることが何より大切ではないだろうか。

 マイホームは、自分らしい暮らしを実現するためのもの。とはいえ、同時にそのためのツールのひとつに過ぎない。住宅ローン返済を続けるためだけに働き続け、生活をぎりぎりに切り詰めることになるなら、本末転倒。自分らしい暮らしはほど遠くなる。マイホームを取得するなら、あらゆる可能性を考え、資金的にもより十分に準備をして臨むことが重要。所在地の災害リスク、地盤や住宅の安全性、資金計画と、事前に調べるべきことはたくさんあるので、万全にして臨んでほしい。

※この記事は、『「貯金ゼロ、知識ゼロ、節約ゼロ」でも大丈夫!“もしも”に備える新しいお金の使い方』を元に再構成しています。

【プロフィール】
清水香(しみず・かおり):ファイナンシャルプランナー、社会福祉士。FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu 代表、(株)生活設計塾クルー取締役。財務省の地震保険制度関連の委員を歴任、自由が丘産能短期大学講師、日本災害復興学会会員。著書に『どんな災害でもお金とくらしを守る』(小学館)、『地震保険はこうして決めなさい』(ダイヤモンド社)、『あなたにとって「本当に必要な保険」』(講談社)がある。新刊『「貯金ゼロ、知識ゼロ、節約ゼロ」でも大丈夫!“もしも”に備える新しいお金の使い方』(小学館)も発売中。

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