世界で1位、2位を争う大富豪の何気ないツイートが、日本の金融市場にも影響を与えているのかもしれない。注目されているツイートの主は、米テスラ・モーターズや宇宙ベンチャーのスペースXを率いるイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)、49歳。1月8日のフォーブスの推計によると、総資産は約18兆2000億円で、アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEO(約19兆4000億円)に次いで、世界2位の大富豪である。
そんなマスク氏が、1月13日の午前(日本時間)に「Hey you… Yeah you Queen… You’re gonna make it!」というコメントとともに投稿したのは、育成ゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ』のキャラクター・輿水幸子(こしみず・さちこ)の画像だった。金融関係者が語る。
「世界的なカリスマ起業家として知られるマスク氏ですが、日本のアニメ好きとしてよく知られています。かつてTwitterで新海誠監督の映画『君の名は。』について言及したこともあります。今回のツイートも、日本文化に造詣の深いマスク氏ならではのものだと思いますが、まさか『アイドルマスター』まで関心を示しているとは、驚いた人たちも多かったのではないでしょうか」
マスク氏のツイートを受けて、ネット上では驚きのツイートがあふれていたが、同時に『アイドルマスター』を運営するバンダイナムコホールディングス(以下、バンナムHD)の株価も反応を見せていた。
東証1部に上場するバンナムHDの株価は、13日の寄り付きから右肩上がりの展開が続き、終値は前日比383円高(4.24%増)の9376円で取引を終えた。前出の金融関係者が語る。
「13日は日経平均株価が前日比1.05%増で年初来高値を更新するなど、そもそも日本株の地合いが良かったという前提があるので、一概にマスク氏のツイートがバンナムHD株の急騰につながったと言い切ることはできません。ただ、マスク氏のTwitterのフォロワーは4200万人以上。このツイートによって初めて『アイドルマスター』というゲームを知った海外の人も多いと思います。バンナムHDが『アイドルマスター』のIP(知的財産)の海外展開を進めていくうえで、非常に心強い“援軍”となるのではないでしょうか」
2020年には、著名投資家のウォーレン・バフェット氏が日本の商社株に投資していることを明らかにし、それに追随して同じ株を買う個人投資家も少なくなかった。今回は、マスク氏がバンナムHDに投資する意思を見せたわけではないので、どこまで株価に影響を与えるかは不明だが、同社にとってうれしいサプライズだったことは間違いないだろう。