また「冬は虫が少ない」ことも大きな魅力だと語る。
「夏は防虫ウェアを着て、蚊取り線香を焚いて……と万全の対策で臨んでも、いつの間にか蚊に刺されてしまうことが多いんです。テントは設営の際に虫が入らないように注意していますが、それでも出入りする際に紛れ込んでしまうことがあります。キャンプ場には蚊だけでなく、アブやブヨ、蜂などの危険な虫もいますし、冬はそういった虫を気にしなくて良いのは嬉しいです。花粉症も気に悩まされる心配もありません」
防寒対策に不可欠な装備は?
そうはいっても、冬のキャンプ場が空いているのには理由がある。猛烈な寒さと戦わなければならないからだ。
Aさん自身、初めての冬キャンプで冬用の寝具を持っていかなかった時を、「凍死するかと思いました」と苦笑しながら振り返る。
「春夏用のマットを敷いてシュラフで寝ようとしたのですが、地面から背中に冷えが伝わって寝付けませんでした。加えて、テント内を温めても、外気との温度差でマットが湿ると底冷えしてしまいます」
試行錯誤の末、Aさんは、「テントの下にシートを敷くだけでなく、冬用の厚手のマット、電気毛布を敷いてその上にシュラフを置く方法に落ち着きました。これで寝る時の寒さも気にせずに済むようになりました」という。
こうした防寒対策の装備は、冬キャンプでは不可欠。冬用のシュラフやマット以外にどんな装備があったほうがよいのか、Aさんが教えてくれた。
「なんといっても、欠かせないのはポータブル電源です。ポータブル電源があると、それに電気毛布やカーペットを繋ぐことができます。キャンプで一番寒いのはやはり夜。寒くて眠れないという事態を避けるためには必須の備品です」
ポータブル電源は、災害時にもお湯を沸かしたり、スマートフォンを充電したりと、なにかと重宝する。
もちろん、終日寒さに晒されることになるため、レッグウォーマー、マフラー、膝掛け、貼るカイロなど、冬用の衣類や小物もしっかり準備しておきたい。「毛布や湯たんぽなども多めに持っていくに越したことはありません」とAさんは言う。
「冬用の肌着は多めに持っていくようにして、寒い時は中に重ね着することもあります。キャンプ場で大抵のものは調達できますが、服だけは難しいので……」とのこと。また意外に重宝するのが雑巾。テント内が結露した時にサッと拭けて便利だそうだ。
【追記:暖を取るために、石油ストーブを使う人もいるが、テント内で使用すると一酸化炭素中毒や火災のリスクがある。十分な換気をしているつもりでも、絶対に安全とは言い切れないので、くれぐれも注意してほしい】