こうした監督管理の強化は、2015年2月から6月にかけての株価急騰、すなわち、株式バブルを引き起こしてしまったことへの反省がその背後にある。
昨年前半は、信用取引の枠組みを超えて、借り入れによってレバレッジをかけ株式投機を行う行為である場外配資が蔓延した。
場外配資が健全な投資活動を促すものなら問題はない。しかし、これは、信用取引制度の枠内で取引するだけの資金量がない個人投資家や、資格のない中小企業、信用取引では禁止されている高いレバレッジでの投機を行いたい大口投資家、私募基金などが多く利用していたといった現実があり、明らかに問題のある取引である。
株式バブル発生のもう一つの要因は、証券会社における信用取引業務の急拡大である。2014年12月から数回にわたり、証監会は信用取引の急拡大を防ぐべく、証券会社への監督管理を強化したが、その拡大を完全には防ぎきれなかった。
現在の金融政策を見ると、中国人民銀行は穏やかな金融緩和を続けるとしているが、利下げや預金準備率引き下げのように、全方位的に金融を緩和することには消極的である。
景気がさらに悪くなることよりも、全方位的な金融緩和を行って、流動性資金が必要以上に不動産市場、株式市場に流れてしまうこと、実体経済において設備・生産過剰産業の投資や生産拡大に流れてしまうことを懸念している。