ソーシャルディスタンス、マスク着用、在宅勤務――。新型コロナの流行は、働き方や日常生活を大きく変えてしまった。人々は一刻も早いコロナ収束を願い、慣れない新しい生活様式に適応しようと努力をし続けてきた。
最近では、ワクチン接種の開始もあって、少しずつコロナ収束の兆しが見えつつある。そうした状況に希望を見出す人が多い一方、コロナ収束後の生活に不安や焦燥感を抱く人もいる。
「コロナが収束してほしい気持ちはもちろんあります。でも、元の世界に戻るのが怖いのも確かです」
そう複雑な胸中を明かすのはIT企業に勤める30代の男性会社員・Aさんだ。彼にとっては、コロナ禍での制限の多い生活にメリットも多いのだという。
「一番は、在宅勤務になり通勤しなくなったことが大きいです。最初は家で仕事をすることに戸惑いましたが、慣れてくると快適そのもの。オンライン環境なので無駄な会議もなくなって仕事効率も上がりました。
飲み会がなくなったこともうれしい。いつも参加を断る口実を探していましたし、参加しても上司に気を遣って楽しめなかった。お金を払ってストレスをため込む悪しき飲み会文化がなくなって本当に幸せです。でも、コロナが終われば、また以前のように苦しい日々に戻るかもしれない。コロナで苦しんでいる人たちが多いのは承知していますが、コロナ収束後の生活を考えると憂鬱です」(Aさん)
人材紹介会社で働く20代の女性会社員・Bさんも、コロナ収束後の生活を不安視する一人。「コロナは収束してほしいけれど、マスクする日々は続いてほしい」と言うほど、マスクがある生活が気に入っているそうだ。もともと口元にコンプレックスがあり、当たり前のように顔をマスクで覆うことができる環境がありがたいという。