エスクロー・エージェント・ジャパン(6093)市場平均予想(単位:百万円)
企業概要
不動産および金融業務において、関係者の業務を一貫して支援できるトータルなワンパッケージサービスを提供しています。金融機関の業務アウトソーシングを支援する機能を担っています。
不動産取引における売買契約から取引決済までの分断されていた手続きを集約(BPO事業)し、その集約された大量の取引事務を支援するサービス(エスクローサービス事業)を開発。精算、保証、決済のエスクローサービスをワンストップで提供しています。「BPO事業」と「エスクローサービス事業」の両輪で事業展開しています。
~不動産取引に係る金融機関の業務を請け負い~
不動産取引に必ず伴う資金決済業務は、日本では普通金融機関が行います。従ってエスクローエージェントとしての役割は必然的に金融機関が引き受けることとなります。そうなると金融機関は司法書士をはじめとした専門家と事務手続きを行うことになり、煩雑な事務作業に時間を追われることになってしまいます。
そこで同社はそういった不動産取引に関係する煩雑な業務を請け負うBPO事業をスタートしたのです(※Business Process Outsourcingの略。業務プロセスの一部を外部の専門的な企業に委託すること。業務委託)。
BPO事業では、不動産調査、金銭消費貸借契約の締結事務の支援(クロージング)、その他人材派遣等のサービスを提供しています。
そして、その内、専門性が必要となる業務については、同社とASP (ApplicationService Provider)で繋がった司法書士など専門家に委託され、遠隔で作業されることとなります。この専門家に対して提供されるASPがエスクローサービス事業で
す。月額料金制のため、登録する専門家が多いほどもうかる仕組みです。ストック積み増しタイプのため、利益率が高く粗利益率は80%を超えています。
注目ポイント
新築市場から中古市場への転換、相続・遺言手続きの増加、生産年齢人口の減少と事務合理化、ネット取引の拡大、こういった外部環境を受け、同社の受託件数は増加が見込まれます。特に、専門性の高い業務(例えば相続後見関連・事業承継等)の外部委託ニーズは今後も一層高まりを見せていく事になるでしょう。
ビジネスモデルとしては月額課金収入制なので、ストック型の収益モデルとなります。利用顧客が増えるほど、利益率が改善されて利益が伸びる形です。売上高に占めるストック業務の割合は99%(16/2期)。ストック業務の売上の伸びは15/2期の13.6%から16/2期は41.4%と急拡大しています。それに伴い売上総利益は15/2期21.0%、16/2期は51.8%の伸びとなり、ストック業務売上総利益比も99%を構成しています。
企業の収益性を見るうえで、粗利益率が高いというのは一つのポイントとなります。原価が高ければどれだけ人件費や光熱費、広告費を削っても利益は思うように稼ぐことはできません。原価率が低いということは利益の伸びしろが多いということですから。加えて、同社のような月額課金制のストック型モデルだと、一定のコストで大きな収益が得られるわけですから、独自のビジネスモデルを構築している企業だと高い成長が期待できると思います。
例えばエムスリーなどはその典型で、専門性の高い分野で事業を展開している点でも同社と共通しています。
同社には高い成長性が感じられますが、今後、月額料金基盤を拡大するため、つまり顧客を増やすためには、サービスの拡充というところがポイントになると思います。16/2期には7つのエスクローサービスを開発し、今期にはM&Aを含めた事業拡大に取り組んでいることから、一段上への成長ステージに立っているのではないでしょうか。
自己資本比率83.8%、有利子負債ゼロの無借金経営、現金は総資産の68%を構成するという盤石の財務内容です。ROEは15.0%(16/2期)と利益還元率もまずまずです。
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