2014年10月31日、日銀の追加金融緩和発表でドル/円相場は急上昇し、約7年ぶりの円安水準となる新しい局面に入った。この相場で大きな利益を取れたFX投資家もいるだろうが、あまりにも激しい上昇ぶりに手を出せなかったという人もいるかもしれない。
羊飼いはこのとき、普段のトレドスタイルとは少し異なる「ある方法」で利益を出すことができた。もちろん必ず成功するとは限らないが、今回はマネーポスト読者にこのトレード術を紹介しよう。
週末にポジションを持ち越す3つの条件
普段の羊飼いはスキャルピング(※1)専門なので、ポジションを持ったままその日の取引を終えることはほとんどない。特に金曜日の場合は、市場が閉まっている土日に相場を動かすニュースが出てくる可能性もあるので、持ち越すのはリスクが高いと思っている。
しかし、ある「条件」に合致したときだけは、ドル/円の買いポジションを持ったまま金曜の取引を終え、週明けまで持ち越すことにしている。この条件がそろうと、かなりの確率で週明け月曜の朝のチャートは窓を大きく開けてギャップアップ(※2)するのだ。今回の「ハロウィン緩和」でも、これが見事に的中した。
週末に持ち越す条件は、次の3つだ。第1に、「ドル/円相場に強い上昇トレンドが発生していること」、第2に「ニューヨーク株式市場が上昇して引けていること」、第3は、「週末に相場を左右するようなイベントが予定されていないこと」である。ドル/円のトレンドとニューヨーク株式市場の上昇幅は、いずれも大きいほど成功率は高くなる。
日銀が追加金融緩和を発表した金曜日は、この条件をすべて満たしていた。そこで、為替相場の取引が終わる直前にドル/円を112円33銭で300万ドル分をロングし持ち越したところ、週明け月曜の朝は大きく窓を開けて上昇した。その結果、112円70銭で決済することができ、週末をまたぐだけで約100万円の利益を得た「おいしい」取引となった。
※1スキャルピング/わずかな利幅を狙って短時間で小刻みの売買を繰り返す手法。
※2ギャップアップ/前日の終値よりも高く寄り付くこと。チャートでは「窓」と呼ばれる空間が開くことになる。