こうしたチャンスは、毎月第1金曜夜のアメリカ雇用統計の発表時や、年8回のFOMC(連邦公開市場委員会)の政策金利発表など、為替相場への影響の大きいイベントの直後に訪れることが多く、毎回10pips(銭)程度の値幅が取れている。今回の「黒田バズーカ」のように30pips以上の値幅が取れるような「おいしい」持ち越しチャンスは、さすがに年に1回あるかないかだ。
2015年は大きく動くチャンスが多いか
しかし、来る2015年に関しては、こうした局面が複数回あってもおかしくないと考えている。
アメリカの利上げがスタートする可能性は相当高いだろうし、日本の金融緩和や株高など、ドル高へと向かう条件がそろっている。中長期的な方向性がはっきりしている分、何らかの要因でトレンドが一時的に加速し、「持ち越し条件」がそろう局面は十分ありうる。
ただし、当然ながらトレンドは一本調子ではない。特に、この秋は短い期間で急激に相場が動いたので、大きな揺り戻しがあってもおかしくない。
ドル高トレンド自体は2~3年は続くと考えているが、その間には何度となく大きな調整や下落があるだろう。こうした一時的な下落に振り落とされないように注意する必要はあるが、逆に言えば絶好の押し目買いチャンスにもなりえる。為替は特に政策によって変動しやすいので、下の表に挙げたような値動きが大きくなりやすいイベントの時間帯にも注意を払っておく必要があるだろう。
今のドル高の恩恵を、ユーロ/ドルの売りで受けるという手もあるが、ここは素直にドル/円で勝負するのが最もわかりやすそうだ。対円における高金利通貨は今回の円安でもあまり動きがなく、うまみが少ないように思える。羊飼いも、ドル/円で中長期的な円安目線を持ちながら、併せて短期的な動きを取っていくつもりだ。
深夜~早朝にかけて為替相場が大きく動きやすい時間帯
NY時間 | イベント | 対応する日本時間 (夏時間) |
対応する日本時間 (冬時間) |
8時30分 | 米国の経済指標発表が集中 | 21時30分 | 22時30分 |
9時30分 | NY株式市場オープン | 22時30分 | 23時30分 |
10時00分 | 米国の経済指標発表が集中 | 23時00分 | 24時00分 |
11時00分 | ロンドンフィキシング(ロンドン市場の基準レートが決まる時間) | 24時00分 | 25時00分 |
14時15分 | FOMC政策金利発表 | 27時15分 | 28時15分 |
16時00分 | NY株式市場クローズ | 5時00分 | 6時00分 |
17時00分 | NY市場(為替)クローズ | 6時00分 | 7時00分 |
※「マネーポスト」2015年新春号に掲載