実際の対象銘柄については公表されてないが、中国本土マスコミ情報によれば、創業板も含め、全体で880銘柄程度となるようだ。
なお、サービス開始時期については、準備に4か月程度かかるとしており、12月中旬以降となりそうだ。
深港通の影響は大局的なところにある。
まず、本土市場において、資本市場の自由化、国際化が進むことになる。今年はA株のMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)採用銘柄入りが延期となったものの、深港通の開始は来年の採用銘柄入りに向けて支援材料となるだろう。
また、より長期思考で、よりファンダメンタルズ重視思考の海外投資家が本土市場により多く参入することで、市場が多様化する。深港通銘柄、滬港通銘柄の値動きを通じ、全体のバリュエーションが少しずつではあろうが、国際化する。“上がるから買い、買うから上がる”、“下がるから売り、売るから下がる”といった不安定な株価形成が改善される可能性がある。
香港市場においては、やはり、資金流入への期待が大きい。中国は世界第2位の経済大国で、2015年の経済規模は第3位の日本の倍以上である。成長率は鈍化したとはいえ、今年は6.5%以上が予想され、個人所得は着実に伸びるだろう。
こうした中で、個人の資産運用意欲は強まっており、国内の運用環境の悪さから、香港をはじめ、海外での資金運用を求める投資家は多い。人民元安懸念がある中で、資金流出圧力が高まっているが、深港通、滬港通がその受け皿の一つとなりえる。長期的には中国の経済発展とともに、本土個人投資家は香港市場にとって、優良顧客となるだろう。