短期金融市場での金利誘導を見る限り、中国人民銀行は金融緩和を進めているというよりも、むしろ中立を保っているようなイメージである。
金融の量的緩和につながる預金準備率の引き下げについては、今年は2月29日に50bp(ベーシスポイント)引き下げただけである。基準金利の引き下げについては昨年10月23日に行って以来、変更はない。こうした点も併せて考えると、金融改革は資金供給に焦点が当てられているようにはみられない。
では、どこに焦点が当てられているのであろうか? 8月下旬の証券市場ではインターネット金融に関する悪材料があった。
銀行業監督管理委員会、工業情報化部、公安部、国家インターネット情報弁公室の4部門は8月24日、「P2Pインターネット貸出プラットフォーム業務活動に関する管理暫定弁法」を発表した。これによれば、株式投資、先物・ストラクチャード商品取引などのために情報仲介サービスを新たに行ってはならないなど、13項目の禁止行為が示された。
意図ははっきりしている。拡大するインターネット金融の管理を強化し、野放しになりかねない金融リスクをしっかりとコントロールしようとしている。
このほか同時期には、高利回り保険商品に対する管理強化が話題になった。また、銀行の理財商品や、不動産市場に対する管理強化などの懸念もあり、本土市場の上値を重くしている。
こうして俯瞰してみると、金融政策も構造改革や新産業の育成発展に重点が置かれているようだ。