阿部寛演じる破天荒な弁護士・桜木建二が、落ちこぼれ高校生たちを東京大学に合格させるべく、熱血指導を繰り広げる『ドラゴン桜』(TBS系)が、大好評のうちに最終回を終えた。ドラマでは、なんの取柄もないなら東大に行って人生を変えろ、と過激な言葉で鼓舞していたが、そうは言っても東大に入るためには多くの時間勉強して受験を突破しなければならない。
しかし、そもそも勉強とは何のためにするのか。「勉強が苦手」という子供たちは、そこが腑に落ちていない。『東大メンタル「ドラゴン桜」に学ぶ やりたくないことでも結果を出す技術』(日経BP)の著者で、東京大学経済学部4年生の西岡壱誠さんは、こう語る。
「たとえば、ケンタッキーフライドチキンの店頭に立っている、『カーネル・サンダース』人形。実は、あの人物の本名は、ハーランド・デーヴィッド・サンダースです。では、カーネルとは何か? 『大佐』という意味です。高校2年くらいで習う英単語です。では、あの人物は大佐なのか?……と、好奇心が刺激され、世の中のさまざまなことがおもしろくなります。勉強するということは、こうして、社会と自分を接続していくことなんだと思います」
東大の一般入試では、しばしば“奇問”が出題される。2005年の地理では、4つの時刻表が並べられ、それらが、
【1】成田空港の上海行き便
【2】東京郊外の住宅地のバス停
【3】地方都市の駅前のバス停
【4】山間部の村のバス停
のどれかを問うというものだ(別掲図参照)。
「この問題の正解を導き出すためには、社会への関心と、想像力が必要です。人口が少ない村ではどんな暮らしをしているだろうか、国際線に乗る人はどんな事情を抱えているだろうか……と。逆に言うと、それさえあれば、まったく知識がなくても解ける。東大でこんな問題が出るのは、“いくら知識があっても、想像力がなければ現実の問題を解くことはできない”というメッセージだと感じます」(西岡さん)