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家族の一員を失うダメージは大きい 高齢者の“重症”が急増「ペットロス」をどう乗り越えるか

 現在はコロナ禍で中断しているが、5~6人のペットロス経験者で話し合う「グループ療法」も効果的だという。

「同じ境遇の人たちと悲しみを共有することで、“みんな苦しんでいるんだ”と分かり、解決の糸口になります」(川崎氏)

 前出の横山氏も、「相談者の話をひたすら傾聴することで症状を回復させていく」と話す。ただし、そのスピードは人それぞれだという。

「なかなか治らない人は、ペットロス以外にも悩みがあって、複合的な理由で気持ちが落ち込んでいることが多い。たとえば持病を抱える不安をペットが癒してくれていたとか、夫婦の緩衝材だったペットを亡くしたことで認知症の夫と1対1で向き合わなくてはならなくなったなどの事情を抱えているケースがあります。いろいろな悩みの積み木があり、その中のひとつがペットロス。だからペットロスだけでなく、複雑に混ざった悩みを少しずつ解消していくことを目指します」(横山氏)

 ペットが亡くなってから後悔しないために、何かできることはあるのか。前出の川崎氏が言う。

「ペットが余命を宣告されてからでもいいので、『ありがとう』『十分にお世話ができなくてごめんね』といった感謝や謝罪の言葉をかけて、残された一瞬一瞬を大切に過ごしてください。生きている間に、できる限りの気持ちを伝えておくことが、喪失感を和らげることにつながるはずです」

 受け入れ難いことだが、いずれ別れの時が来る。だからこそ、日頃から精一杯の愛情を注いでいきたい。

※週刊ポスト2021年7月16・23日号

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