1日じゃ終わらない!
神戸市では、各区役所・支所に「おくやみコーナー」を設置している。死後の手続きについて説明するとともに、職員が申請書の作成などを手伝う窓口で、前述の小冊子はここで配布されている。
役所に「おくやみコーナー」を設ける自治体の先駆けとなったのは、大分県別府市だ。2016年5月にコーナーを新設した同市の総務課管財係の担当者はこう説明する。
「亡くなった方の属性などにもよりますが、市役所での手続きは最大で13課69業務に及び、1日で終わらないケースもあった。
そこで死亡手続きに特化した窓口を設け、そこで亡くなった方の住所、氏名、葬儀日などの必要項目を書類に記入していただくようにしました。その内容を職員がパソコンに入力すれば各課の必要書類に反映され、ひとつひとつ同じことを記入しなくてもいいような仕組みを構築した。各課を回っていただく必要はあるが、『おくやみコーナー』で20分ほど、各窓口を回ってもトータル1時間ぐらいで手続きが完結するようになりました」
同市の取り組みには、全国の自治体から視察が相次ぎ、“別府方式”として全国の約30の自治体で導入されている。
それを政令指定都市で初めて導入したのが、前述の小冊子を作成した神戸市だった。同市行財政局区役所課はこう説明する。
「2018年に別府市へ視察に行き、一部の区役所での先行導入を経て、20年5月に全区役所と支所に『おくやみコーナー』を設けました。そこで配布する小冊子については、積極的な広報をしているわけではありませんが、死亡届が提出された時に窓口でお渡ししており、市のホームページからダウンロードすることも可能です」