東京23区で唯一、「おくやみコーナー」を設けている大田区も、〈ご遺族の方へ ~おくやみ手続きガイド~〉と題した小冊子を用意しており、やはりホームページから入手できる。
「『おくやみコーナー』で手続きがすべて完結するワンストップ窓口を開設している自治体もありますが、大田区の場合は人口が多く(約73万人)、なかなか難しいところもあったので、充実した小冊子を製作し、それをご覧いただくだけでも手続きが完結できるようにしました。ご要望があれば存命中に活用したいという方にもお渡ししています」(区民部戸籍住民課)
自分がいま住んでいる自治体が、「おくやみコーナー」を設置しているとは限らない。だからこそ、無料で入手できるこうした小冊子を利用して、必要書類などを生前に整理しておく方法も検討に値すると言えるだろう。社会福祉士の吉川美津子氏はこう話す。
「生まれる時は出生届1枚で済むのが、亡くなる時はたくさんの書類の届け出が必要となります。自分に該当するものを把握しておくだけでも、終活のきっかけになります。役所の小冊子のほか、法律の専門家や、葬儀社等がそうした情報を整理していることもあります。それらの資料を活用し、できることから終活を進めていけばいいと思います」
元気なうちに“やれることは自分でやる”という姿勢が子供に頼らず、迷惑も掛けない最期につながる。
※週刊ポスト2021年7月30日・8月6日号