コロナ禍でテレワークが普及し、郊外や地方への移住が注目されている。都心に住む人の中には、自然と触れ合える街への憧れもあるかもしれない。だが、念願かなって希望の立地に引っ越したと思っても、実際住んでみると、事前には予想できなかったトラブルに直面したりするケースもある。そんな実例を紹介しよう。
メーカーに勤務する30代男性・Aさんのオフィスは都心にある。在宅勤務を基本としながらも、時々出勤する必要もあるため、地方に行くわけにもいかない。しかし気分転換で引っ越しをしたいと思い立った。そこで目を付けたのが大きな川沿いの物件だった。
「コロナ以前は、高速道路に近くてオフィスビルが立ち並ぶ、“ザ・都心”のマンションに住んでいました。でも在宅勤務が始まると、外が殺風景すぎてゲンナリ。かねてから憧れていた開放感ある川沿いの住宅地に引っ越そうと思い立ちました」(「」内Aさん、以下同)
不動産業者の「春は桜がきれいで最高ですよ」というセールストークに背中を押され、引っ越しを決心したAさん。生活の質は上がったと話す。
「部屋から木々の揺れが見えて、癒されます。確かに、春になれば桜を独占でき、ベランダで一杯飲むのも楽しめました。外に出れば都心とは思えないぐらい自然豊かで、橋のデザインもおしゃれ。良いリフレッシュになりました。運動不足気味だったので川沿いをランニングする趣味もできました」
川沿いで「路上飲み」する人たちのマナーが心配
だが、良いところがあれば、悪いところもあるのが世の常。ほどなくして念願の“リバーサイドライフ”に暗雲が立ち込め始めた。まずは想定外の「川の臭さ」だ。
「オールシーズン臭いのは、想定外でした。特に6月の梅雨の時期あたりが強烈で、風向きによっては部屋中にドブのような臭いが充満します。最初は何が起きたのか、しばらく理解できませんでした。お花見シーズンの2週間の眺望はすばらしいですが、それと引き換えにこの臭さに耐えるというのは、割が合わないように思えました」