相続は「時間との勝負」になる。「生前」も「死後」も、期限内に所定の手続きや準備を進めていかないと、親族間の争い事に発展するリスクなどがある。別掲の「手続きスケジュール表」を参照しながら、手順を確認していきたい。
「生前」の段階ではまず、(1)相続人の確認をしておく。誰が相続に関わるのかが分からなければ、対策の立てようもないからだ。
その際には、民法で定められた「法定相続人」が基本となる。法定相続人には優先順位があり、それぞれに遺産の取り分の目安となる「法定相続分」が定められている。
最も優先的に相続の権利が認められるのが「配偶者」となる。夢相続代表で相続実務士の曽根惠子氏の解説。
「配偶者は誰よりも優先的に法定相続人となり、遺産の2分の1が法定相続分となります(子がいる場合)。ただし、内縁関係や離婚して婚姻関係を解消した元妻や元夫は除外されます」
配偶者以外で第1順位となるのが「子供や孫」といった直系卑属だ。子供がいない場合、第2順位は「故人の父母や祖父母」にあたる直系尊属。直系尊属がすでに亡くなっていれば、第3順位が「故人の兄弟姉妹」の傍系の血族となる。各順位で該当する相続人がいないと順番に権利が移っていくルールだ。法定相続分も相続人の組み合わせによって異なる【別掲図(1)参照】。
「第1順位には養子や認知している子供、元夫や元妻との間に生まれて戸籍に記載されている子供も含まれます。配偶者がいる場合は遺産の2分の1が配偶者、残りの2分の1が子供たちの法定相続分となります。すでに子供が亡くなっている場合は孫が代わりに相続人となり、それを『代襲相続』と言います」(曽根氏)
法定相続分はあくまで目安であり、相続人全員の協議などで、分配の割合を変えることは可能だ。