投資

【日本株週間見通し】日経平均はもみ合いか 今週は様子見ムード強まる可能性も

 7月開催のFOMC議事要旨において、年内にもテーパリングを開始する可能性が示唆されたことで、足元では改めて金融緩和の早期縮小に対する警戒感が高まってきている。今年の4月頃から米連邦準備制度理事会(FRB)高官からは度々テーパリングに関する発言が聞かれており、従来、市場への刷り込みは十分に上手く進んでいると思われていた。

 しかし、足元では、米中二大国で経済指標の下振れが続き、また、世界的に新型コロナウイルス変異株(デルタ株)が猛威を振るい、世界景気の減速懸念が高まってきている。そうした中、金融政策変更スケジュールの後ろ倒しもあり得るのではとも想定されていただけに、年内にテーパリング開始の条件が整うと考えているFRBメンバーが多かったことにはややサプライズ感があった様子。

 また、当局による規制強化をきっかけとした中国株や香港株の軟調も続いているほか、日本国内では政局不透明感なども加わり、足元では懸念要素が山積みとなっている。日経平均の動きをみて一目瞭然のように、投資家心理はかなり悪化してきている様子。

 一方、7月のFOMC後、パウエルFRB議長は、テーパリング開始に必要な目標への進捗状況については、「今後数回の会合で評価する」と述べている。また、FOMC投票権をもつ米アトランタ連銀のボスティック総裁は「今後、1、2カ月間で7月の雇用統計のような良好な結果が確認されれば、著しい更なる進展目標が達成する」とコメント。これらを考慮すれば、テーパリングの決定は早くても8月の雇用統計を確認した後の9月のFOMCとなるだろう。そのため、ジャクソンホール会議において決定的な材料が出るとは想定しにくいが、上述したような神経質な環境下、投資家は何らかのヒントを得たいとの思惑から積極的には動けないと想定される。

 先週には、日経平均先物が遂に一時27000円を割り込む場面も見られた。8月に入ってから商品投資顧問(CTA)などの動きを表しやすいクレディ・スイス証券は、先物買い越し傾向を続けてきているが、イベントを前に改めて短期筋による先物主導の動きには警戒したい。

 そのほか、今週も米国では7月の中古住宅販売や新築住宅販売、耐久財受注など経済指標が多く公表される。景気減速懸念が強まっているなか、大幅な下振れなどがあると、足元、下落がきつい景気敏感株の更なる売り圧力となりかねないため、注意したい。

 一方、景気敏感株への逆風が強まっているなか、グロース・ハイテク銘柄には底堅さも確認されている。先週後半にかけては、ネットフリックスやマイクロソフトといった主力ハイテク株が大きく買われたほか、エヌビディアやアプライド・マテリアルズなどの半導体関連株も好決算を受けて大きく上昇した。

 東京市場では、半導体関連株は米国と対照的に軟調なものが多く、好決算を発表した東京エレクトロン<8035>などもさえない展開が続いている。しかし、IT系のテック銘柄に目を向けると、年初来安値を更新し続け、弱さが目立っていたマザーズ指数には、週末にかけて底打ち感が徐々に見られた。マザーズ時価総額上位のJMDC<4483>などは週末に上場来高値をつけていた。

 上述したように、足元で早期の金融緩和縮小観測が高まっているにも関わらず、米10年国債利回りは1.2%台半ばでの推移が続いており、ほとんど上昇していない。これは、将来の利上げよりも、景気減速・後退を警戒した動きを映したものと考えられる。市場は、9月FOMCでのテーパリング決定、年末までの開始を想定しているが、FRBがテーパリングを開始する時期には、すでに景気が後退局面に入っていることを恐れているのではないかと考えられる。

 こうなってくると、一層、景気敏感株には厳しい状況と思えてくるが、一方で、“景気減速・長期金利停滞”となってくると、グロース株には“相対的”には追い風となってくる。実際には、景気敏感株とグロース株の極端な二択ではなく、循環物色の動きが続きそうだが、目先はマザーズ指数の底打ち感を確認するとともに、テック系グロース株の反発機運が高まることを期待したい。

 なお、今週は23日に米7月中古住宅販売、24日に米7月新築住宅販売、25日に米7月耐久財受注、26日に米4-6月期GDP改定値、米カンザスシティ連銀主催のジャクソンホール会議(~28日)、27日に米7月個人所得・個人消費支出、などが予定されている。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。