◆国民投票がFXに与える影響
松井:ただ、イギリスと言えばここ数か月はEUからの離脱の話で持ち切りでしたね。
松田:長く国際金融の仕事に携わった私から見ても、市場に極めて大きなインパクトを持つ政治イベントでした。イギリスでは首相まで交代しましたし、ヨーロッパ大陸にも波紋が広がっています。
ただ、今後離脱に向けては紆余曲折を経ながら数年をかけた大作業になるでしょうから、すぐに大きな混乱が起きる可能性は高くないでしょう。通貨ポンドがなくなるわけではありませんし、ロンドンの国際金融センターとしての地位が簡単に揺らぐとも考えにくいところです。
松井:ということは、ポンドがすぐに投資しにくくなるといったことはないのでしょうか?
松田:そう思います。FXについて言うと、これだけイギリスやEUが話題になったおかげで、投資家のポンドやユーロについての知識が格段に増えて、投資対象として身近になった面もあるのではないでしょうか。
◆ポンドのトリビア
松田:イギリスの通貨ポンドは、金融の世界では「スターリング」とか「ケーブル」といった別名でも親しまれてきました。ドルにも「グリーンバック」とか、日本の1万円札にも「聖徳太子」などのニックネームがありますね。聖徳太子はちょっと古いですか?
松井:私は知りません……。
松田:失礼しました。ポンドは私が子供のころは12進法と20進法の入り混じった複雑な数え方だったんです。また、イギリスでは、日銀にあたるイングランド銀行のほかに、スコットランドと北アイルランドにある7つの銀行もポンド紙幣を発行しているんです。
松井:それも初耳です。冒頭からトリビア全開ですね(笑)。