では実際に転職活動をしようとするとき、これらの媒体をどのように使い分ければいいのだろうか。
「転職サイトと転職エージェントのどちらを選べばいいのかは、その人のキャリアやスキルによって変わってきます。エージェントが企業に勧めやすいようなキャリアやスキルを持っている人はエージェントを使ったほうがいいですね。面接などの日程調整や年収の交渉もしてくれますから安心です。
しかし、採用条件のキャリアやスキルに満たない応募者の場合、エージェント経由では紹介してもらいにくくなります。もし希望に対してキャリアやスキルが足りないなと思ったら転職サイトから応募するほうが面接にたどり着く可能性は高くなると思いますよ」(錦戸さん)
転職エージェントにはそれなりの対価が発生するので、企業側としても自分たちのニーズに合致する人を確実に採りたいと考えるのは自然なことだ。そう考えると、同じ業界内や業種内で転職を希望する“ハイクラス”の人材だけが転職エージェントを利用しているかと思えるが、決してそれだけではない。未経験の業界や職種へ転職する場合でも、似たような経験をしていたり、スキル的にアピールできるものがあれば、エージェントは熱心に動いてくれるという。
コロナ禍以降、70人以上の転職相談を受けてきた錦戸さんによれば、企業の採用意欲は衰えるどころか、増してきているという。依然として変わらないのは企業側のニーズだ。
「コロナ後も、企業が入社する人に『専門性』と『柔軟性』を求めている点は変わりません。柔軟性とは、たとえば組織が変わっても今までのように活躍できるか、つまり再現性があるかとか、リモートワークにすんなり移行できるか、新たなメンバーともすぐ馴染み、業務が遂行できるかといったこと。
柔軟性という意味でも若年層が転職しやすいことは否めませんが、40代以上でも多くの人が転職されているのも事実です。ご自分の強みをしっかり把握して活動してほしいと思います」(錦戸さん)