ただし、転職エージェントの活用には注意が必要と錦戸さんは言う。
「転職エージェントは企業から対価をもらうという性格上、必ずしも利用者の希望に沿う転職活動にならないことがあります。エージェントは成約しないと報酬が発生しないので、利用者がもともと経験のある業種、職種ばかり紹介してくる、または利用者の希望条件を聞いてもらえず逆に説得されてしまう、といったこともあり得ます。
利用者に対して本当に親身になってくれる人もいれば、目先の利益ばかり見ているエージェントもいます。これはどの業界でもありえることですから、しかたがないことです」
では、いい転職エージェントを見分けるコツは何か。
「傾聴力があるかどうかが一番のポイントですね。自分が話したいことばかりを話してくるエージェントは、利用者の希望をあまり聞いてくれない可能性があります。そのうえで利用者のよいところを把握しようとしてくれるかどうか。そのためにも利用者は自分の『アピールポイント』と『転職における希望』をしっかり持って伝えることが必要です」(錦戸さん)
一般に、転職では自分のキャリアやスキルを棚卸しして、待遇などへの希望がそれに見合うか判断することが大切だとよく言われる。それがしっかりできていれば、転職サイトであれ、エージェントであれ、どんな媒体を使っても満足のいく転職活動になるはずだ。
取材・文/岸川貴文(フリーライター)