新型コロナウイルスの感染拡大で「世の中の常識が変わった」と言われるが、それはビジネス環境においても同じだ。飲食業や観光業などが大打撃を受ける一方で、宅配業やインテリア、ゲーム業界など、リモートワークやステイホームのニーズをとらえて成長している分野もある。
もはやこれは「ゲームのルールが変わった」と言えるものであり、コロナの打撃を受けたことで不遇を嘆くだけでは仕方がない。むしろ、こうした危機は一生のうちに何度かは遭遇するものと捉え、新しいルールに適応していくしかないのが実情だろう。
コロナ禍でビジネス環境が激変するなか、働く人には「転職」も大きなテーマとなる。NEWSポストセブン「転職研究室」が20~60代の男女を対象に「コロナ禍(2020年1月~2021年8月)における転職の検討状況」についてアンケートを行ったところ、全体で約17%(1142/6605人)の人が「コロナ禍での転職を検討した」と回答した。
20代、30代に限ってみると実に約3割(366/1230人)もの人が転職を検討していた。コロナ禍のような先行き不透明な状況下では、転職のようなリスクのある変化は忌避されるものと思えるが、若い世代はそれを上回るほどの将来不安があるのか、転職意欲は旺盛のようだ。
アンケートではさらに、実際に転職した人に「成功だったかどうか」についても聞いた。すると、回答した167人のうち100人、6割が「成功だった」と答えている。この結果について、キャリアカウンセラーの錦戸かおりさんはこう指摘する。
「アンケートでは『転職を考えた理由』に加え、『転職先を選ぶ時に重視した点』についても複数回答で答えてもらっていますが、後者の回答の数のほうが多い。これは30代以降で顕著に見て取れます。
つまり、転職活動を始めて実際の企業を具体的に見ていったときに、検討すべきポイントがいろいろ目に入ってきて、そこを慎重に判断している様子がうかがえます。転職活動を始めた後で、慎重に企業を選んだ結果として、満足度が高くなったのかもしれません」