周囲の宅地開発により、子供が増えたことも事故の背景にあるとの報道もありましたが、以前は歩行者がいなかったとしても、利用状況は変わるものです。道路管理者は、道路法に基づき道路の構造を、安全かつ円滑な交通を確保することができるものにする義務があります。スピードを出して通行するトラックに、通学児童が危険を感じるような状態になっていることがわかれば、速やかに安全を確保する設備を設置し、通学時間帯の速度を制限するよう警察と協議するなどの対応が求められていた、といえるかもしれません。
飲酒、居眠り、スピード違反などの無謀運転が原因の場合、事故防止や死亡結果の回避が可能な措置を講じ得たかも論点になりますが、速度規制やガードレール設置などは被害拡大を防ぐ上で、有効だったのは間違いないでしょう。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2021年9月17・24日号